権利関係:心裡留保・通謀虚偽表示・錯誤
「詐欺」や「錯誤」以外にも、契約が無効や取消しになる場合として、心裡留保・通謀虚偽表示・錯誤の3つがあります。
「心裡留保」とは。
例えば、Aがウソや冗談でBと売買契約をしたような場合です。心裡留保の意思表示は、相手方が善意・無過失であれば原則として有効です。ウソをつかれた者は、相手方が言っていることの真意を確かめる必要はない、というのが民法の考えです。相手の言うことを素直に信用していいのです。ただし、相手方Bがそのウソや冗談を知っていた場合(悪意)や、知ることができた(善意・有過失)場合には、無効となるのです。
「通謀虚偽表示」とは。
例えば、Aが差押えを逃れようとして、土地を売る意思もないのにBとグル(通謀。結託してといい意味)になり土地の名義をBに移すために仮装の売買契約を行う場合、この契約は無効になります。ただし、Bが土地を善意のCに転売した場合は、AはCにAB間の売買契約が無効の主張はできません(ウソをつくものを、法律は保護しない)。
「錯誤」とは。
例えば、Aがある土地を売るつもりだったが、勘違いで別の土地を売ってしまった、意思表示の重要な部分に勘違い(要素の錯誤)があった場合、取消すことができます(うっかりなミスは許しましょう。というのが法律の考え)。ただし、表意者Aに重大な過失(重過失)がある場合には、契約の取消しはできません。