権利関係:制限行為能力者
法律のもとでは、人は皆平等で、自分の意思で自由に契約行為をすることができます。しかし、この原則を貫くと不利益を被る人がでてきます。例えば、赤ちゃんは、認知症のお年寄りは、一人で契約行為を行えるのでしょうか?
民法では、制限行為能力者という規定、◎未成年者◎成年後見人◎被保佐人◎被補助人の4つの種類があります。制限行為能力者の財産を保護するための規定を設けています。
「未成年者」とは、年齢20歳未満の者です。
未成年者が契約等をするには、原則として、法定代理人(親)の同意を得るか、法定代理人が代理して行うことが必要です。そうしないで単独で行った法律行為は、取消すことができます。
「成年後見人」とは、認知症等家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者をいい、成年後見人という保護者が付けられます。
成年後見人が単独で行った契約は、成年後見人から事前に同意を得た場合でも取消すことができます。成年後見人が事前に同意をしたとしても、必ずしも成年後見人が適切な法律行為をおこなうことができるとは限らないからです。
制限行為能力者の取消しは、善意の第三者にも主張できます。
例えば、未成年者Aが法定代理人の同意を得ずに不動産をBに売却し、Bがさらにその不動産をCに転売した場合、未成年者自身や法定代理人は、AB間の売買契約の取消しの結果、無効になることについて、第三者Cに対抗することができます。
このようにして、制限行為能力者の権利を保護しているのです。