民法:時効
1.時効制度
時効は、一定の事実状態が一定期間継続した場合に、その状態が真実の権利関係と一致するか否かを問わず、そのまま権利関係として認める制度です。
時効の成立によって権利を取得する取得時効と、権利が消滅する消滅時効とがあります。
時効によって取得できる権利は、所有権・地上権・地役権・不動産賃借権などの物件及び物件に準ずる権利です。時効によって消滅する権利は、債権及び所有権以外の財産権です。
※所有権自体は、消滅時効にかかりません。
一定の事実状態が一定期間経過したのみで、時効の効果が直ちに成立するわけではありません。時効路益を受ける旨の意思表示(援用)が必要になります。時効完成後時効利益を受ける者は、時効の援用を放棄することもできます。
2.時効の完成猶予と更新
●時効の完成猶予事由
①裁判上の請求:裁判中は時効は完成しません。訴えの却下又は取下げがあった場合は、その時から6ケ月経過するまで時効は完成しません。
②仮差押え・仮処分:権利実行のための裁判所における手続です。それぞれの事由が終了した時から6ケ月経過するまで、時効は完成しません。
③裁判外の請求:例えば、裁判所の手続きによらずに内容証明郵便などで、請求することです。催告があった時から6ケ月経過するまで時効は完成しません。
●時効の更新事由
①確定判決:確定判決などにより権利が確定したときは、時効は新たに進行します。
②承認:時効利益を受けるものから、相手方に対して債務の存在を知っている旨を表示することです。利息の支払いや一部の弁済も「承認」となります。承認した時から時効は新たに進行を始めます。